お仕立て・お客様紹介
2011年 10月 27日
先日納品させて頂きましたスーツについてお客様よりブログ用にと楽しい解説&ご感想を頂きました。
選んで頂いた服地はDormeuil社「Sportex」シリーズ、1922年に発表された、快適かつ耐久性に
優れたスポーツ用の生地。当時としてはとってもユニークな特徴を持った服地だった事でしょう。
お客様に初めにお見せした時から出来上がりのイメージがハッキリ出来ているようでした。
さすがオーダー経験豊富な方の目に間違いはありませんね。
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(以下、A様コメントです)
まずスポーテックスという生地の「ブランド力」に魅かれてしまいました。よく名と由来は聞くのですが、特徴が今一つわかりません。手にしてみて軽量のツイードなのだとわかりました。こちらのお店がセレクトしたのはベースがジーンズのインディゴ・ブルーそっくりの藍色に広めのヘリンボーンが織られています。ヘリンボーン一つ分の両端に細いけどくっきり茶のストライプが乗っていてさらに杉綾の頂点付近両側に狭い間隔で白いストライプが乗っているというにぎやかな柄で、スーツの出来上がりが想像できず最初はとまどってしまいました。スーツになってみると、これは昔自分の親父のワードローブや巷でよく見た、古臭いひとつ間違うと趣味の悪いそれでいて重厚な、あの高度成長期にあったノスタルジックな雰囲気を醸し出しているではありませんか。お店の方にも「雰囲気を楽しんでください。」と勧められたのでした。ちょっとこういうスーツは最近見ないですね。ビンテージ・マニアの人たちがひそかに楽しんでいる柄がこうして手軽に手に入った喜びがあり、くっきり鮮やかなストライプ・スーツにどっぷり席巻されているニッポンに対してアンチテーゼを表明しているようでまたうれしくなりました。袖を通してみるとある程度重いし張りがあるので背筋がしゃきっとしますね。これがイギリス生地のいいところです。さらに多孔性ツイードなので(つまり目が粗い)熱がこもらないのでしょうか、湿気が高くてもさらっとしていて、ここにスポーツ用生地(スポーテックス)という名前本来の意図が見えてきます。
さて遠目に見ると茶のストライプは表面に陰影をつけ、目立たなかった白のピン・ストライプは繻子のように時にぎらぎらと主張し始めこれがジャケットとパンツのセットで生きてくるのでスーツの格を引き上げています。基本はツイードでありながらこの柄のデザインはジャケットよりスーツに合っており、尾洲屋さんのナイス・チョイスに恐れ入りました。
用途としてはシティよりもカントリー。日本にイギリスのカントリーにあたる状況がどんなものかわからないので、ドレス・コードの緩い職場で着るのに、かちっとしたビジネス・スーツを敬遠する人にお勧めします。七五三などのお宮参りにも活躍しそうでいいと思います。お店に色違いが一本残っていますよ。

(以上)
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コメントまことにありがとう御座いました。
現代的で洗練されたモノも良いですがそれだけではありませんね。歴史の中でポンっと生まれたユニークな服地が一世紀を間近にして今尚魅力を持って喜ばれているわけです。こういった物をしっかりとオススメし続けるお店でありたいです。Aさま末永くご愛用くださいませ。
選んで頂いた服地はDormeuil社「Sportex」シリーズ、1922年に発表された、快適かつ耐久性に
優れたスポーツ用の生地。当時としてはとってもユニークな特徴を持った服地だった事でしょう。
お客様に初めにお見せした時から出来上がりのイメージがハッキリ出来ているようでした。
さすがオーダー経験豊富な方の目に間違いはありませんね。
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(以下、A様コメントです)
まずスポーテックスという生地の「ブランド力」に魅かれてしまいました。よく名と由来は聞くのですが、特徴が今一つわかりません。手にしてみて軽量のツイードなのだとわかりました。こちらのお店がセレクトしたのはベースがジーンズのインディゴ・ブルーそっくりの藍色に広めのヘリンボーンが織られています。ヘリンボーン一つ分の両端に細いけどくっきり茶のストライプが乗っていてさらに杉綾の頂点付近両側に狭い間隔で白いストライプが乗っているというにぎやかな柄で、スーツの出来上がりが想像できず最初はとまどってしまいました。スーツになってみると、これは昔自分の親父のワードローブや巷でよく見た、古臭いひとつ間違うと趣味の悪いそれでいて重厚な、あの高度成長期にあったノスタルジックな雰囲気を醸し出しているではありませんか。お店の方にも「雰囲気を楽しんでください。」と勧められたのでした。ちょっとこういうスーツは最近見ないですね。ビンテージ・マニアの人たちがひそかに楽しんでいる柄がこうして手軽に手に入った喜びがあり、くっきり鮮やかなストライプ・スーツにどっぷり席巻されているニッポンに対してアンチテーゼを表明しているようでまたうれしくなりました。袖を通してみるとある程度重いし張りがあるので背筋がしゃきっとしますね。これがイギリス生地のいいところです。さらに多孔性ツイードなので(つまり目が粗い)熱がこもらないのでしょうか、湿気が高くてもさらっとしていて、ここにスポーツ用生地(スポーテックス)という名前本来の意図が見えてきます。
さて遠目に見ると茶のストライプは表面に陰影をつけ、目立たなかった白のピン・ストライプは繻子のように時にぎらぎらと主張し始めこれがジャケットとパンツのセットで生きてくるのでスーツの格を引き上げています。基本はツイードでありながらこの柄のデザインはジャケットよりスーツに合っており、尾洲屋さんのナイス・チョイスに恐れ入りました。
用途としてはシティよりもカントリー。日本にイギリスのカントリーにあたる状況がどんなものかわからないので、ドレス・コードの緩い職場で着るのに、かちっとしたビジネス・スーツを敬遠する人にお勧めします。七五三などのお宮参りにも活躍しそうでいいと思います。お店に色違いが一本残っていますよ。

(以上)
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コメントまことにありがとう御座いました。
現代的で洗練されたモノも良いですがそれだけではありませんね。歴史の中でポンっと生まれたユニークな服地が一世紀を間近にして今尚魅力を持って喜ばれているわけです。こういった物をしっかりとオススメし続けるお店でありたいです。Aさま末永くご愛用くださいませ。
by bisyuya
| 2011-10-27 00:07
| ◆お仕立 men's&ladies