尾洲屋羅紗店|広島・呉のオーダースーツ、洋服のリフォームショップ


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宮城興業社訪問 2012/2/12 

当店がオーダーシューズの製作を依頼するのは山形県にある宮城興業。メンズファッション雑誌やメンズドレス靴の関連本などでも度々その作りが高く評価されるジャパンメイド ブランドとして注目を集めています。

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 東京から山形新幹線で2時間半ほど、赤湯駅で降ります。赤湯温泉やスキー場の蔵王などは聞いた事がありますが、はじめて降りる雪国の寒さと雪に驚いたのもその筈、前日は記録的な雪の積雪量で2車線と両サイドに歩道のあったとされる道の歩道は雪でうず高く覆われ1.5車線くらいの巾を車が行き来するような状態、時速20キロ少々でゆっくりと会社へ向かいました。

 道すがらいつもお世話になっている担当の方が車で送って下さったのですが、話を聞くと担当の方の出身は静岡、後で他にお話させて頂いたファクトリーの方々も地元山形以外の方も多いようでした。もちろん地元の方も多く勤められているのですが靴作りに憧れと夢を持ち、志し高く他県から同社を訪れる若い方も多いようです。

 髙橋社長ともお話しする機会を頂きました。元々宮城興業は様々なブランド、メーカーなどの靴製造を受けてきた歴史があり品質の高さと丁寧な仕事で靴作りに取り組んできた様なのですが転機となったのは当店でも取り扱わさせて頂いてるオーダーシューズだったそうです。

 当時、多くの国内アパレル会社、メーカーが取り組んだ海外製などの安価なコストで作られた靴。この大きな流れの中で国内の製造者は取引先から小ロット、低価格などの厳しい条件に直面したそうです。

 それまでは何百足というロットがまとまらないと製造コストが出ないという試算が当然と考えられていた時代もあったそうですから、その後の小ロットに対応していく中、より積極的に難しい仕事にも取り組んでいく場面が多くなっていったそうです。

 この時の経験が土台になり一足一足、お客様の千差万別な要望に応えられる現在のパターンオーダーシューズのシステムが確立されていったとの事ですから、まさにピンチをチャンスに変えていったわけです。今でもプレタ・ブランドなどのOEM製造を承っている同社の製造ラインでは複雑なデザイン・加工にも向き合い、その技術力を日々磨いているようです。


≪工場内見学≫

全ての工程をレポートは出来ないので私が理解できた部分のみでの内容になることを予めご了承ください。ここに載せた以外でも多くの手仕事により一足の靴が作り上げられます。


■こちらはオーダーシューズ用の革。ちなみに写真向かって右側が牛の背中の中心(背中心)。ココから十数cmは捨てます。何故か?雨や日差しが直接当たる場所で革の品質があまり良くないそうです。そこから先、真ん中位までは逆に革質のいい部分になります。この付近は足や首などの関節も無く伸び縮みが少ない為、状態が良いそうです、主に光沢を必要とするカカトやつま先に用います。
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 またこの革がストックされている部屋は締め切られていて常に温度・湿度をチェック保管には十分な注意をされていました。



■ロット生産のプレタ靴などでは金型を用いて機械でドンドン裁断するそうですが、パターンオーダーシューズの革の裁断は全てで行われています。一足一足デザイン、サイズが違うわけですから当然ではありますが作業量を比較すれば雲泥の差があります。
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■このラックには沢山の木型(ラスト)が保管されていました。靴の長さで22.0cm~30.0cm、横幅のウィズで6サイズ以上、基本になる木型のデザインは3種類、これらに更に必要な場合は一足一足に微調整を加えてフィッティングの高いオーダー靴を目指します。
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■まるで画鋲のような、ホチキスのようなもの!?でリブに対してアッパー(甲革)を機械でつなぎ止めています。グッドイヤー製法の特徴的な構造ですね。
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■昨年発表されたニューモデルのファスナーブーツも製造中でした。
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■ベロア・スエードなどの起毛靴はビニールで丁寧に保護し、様々な工程を流れます。
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■高い技術を要求されるすくい縫いの工程はまさに職人技。ウェルトに対して靴を回しながら縫いを掛けていきます。
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■中底に入っているコルク。履きはじめてから沈み込んで足の形になじみます。これも履き心地が良くなるポイントです。
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■こちらも難易度高し!底付け・出し縫い。機械縫いには機械を扱う為の高い技術が必要だと感じました。
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■いよいよ仕上げの工程。靴底の側面(コバ)の削りだしや色づけ、底の裏面などの色づけ、アッパー(甲革)の磨きこみで完成品に近づいていきます。この工程は靴の見た目、美的感覚に関わる部分ですのでじっくり時間を掛け作り上げていきます。
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完成。


 この後、検品などを経て出荷、お客様へのお渡しとなります。当店のオーダーシューズはこのファクトリーで職人一人一人の手によって製作されています。品質を高めながらも効率よく手仕事を進め、コストパフォーマンスが高まる事で、価格とクオリティが追及されています。ただ大事なことはそれだけではありませんでした。就業時間とされる時間外は作業場を開放し個々の方々が自らの靴作りに励んでいるという事でした。宮城興業として作り出される靴には靴作りの情熱がいっぱいでした。
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宮城興業のオーダーシューズを是非、尾洲屋で一度お試しくださいませ。



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by bisyuya | 2012-02-12 11:28 | ◆お気に入り