お仕立て紹介・コメント
2012年 05月 07日
先日の立夏から暑さが厳しさを増し、呉では刻々と暑い夏に向かっている感もありますが、これから梅雨等もある訳ですし天気の変化に対応して体調管理と共に着装も色々と気配りが必要な時候ですね。
先日納品させて頂いたスーツのコメントを頂き、また良ければこのブログにもどうぞとおっしゃって頂いたのででそのままを以下に載せさせて頂きました。オーダー経験豊富なAさまならではの感想が楽しく綴られています。
お仕立頂いたのは仏Dormeuil社のTonikシリーズ。Tonikはスーツの歴史にその名を刻む名作生地です。3PLY(3本の糸を撚った)の糸が織り成すTonikはシャリ感が強く、その強度と共にモヘア糸(アンゴラ山羊)による天然の光沢感、張りが特徴の服地です。古き良き服地の復刻版としてこの春入荷した服地でしたが手に取る人によっては懐かしくもあり、私を含め当時を知らない世代の人にとっては新鮮であり斬新な印象すら受けます、そういった意味でも当店において今も昔も変わらず人気の服地Tonikであります。
↓↓↓以下、お客様からのコメント&フォト
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ドーメルの生地トニックは時代に合わせ改良版が出ていますが、「オリジナル1957」を冠した復刻版も限定発売していたのでした。これはオリジナルにきわめて近い製法と素材、混合比でつくられているということで、当時のものはもはやどこかの売れ残りでしか手に入らないこともありトニックにあこがれる服好きにはたまらない朗報でした。
こちらでは3着分入荷し、もちろん常連優遇という特典もなく熾烈な争奪戦の末、なんとか1着分を手に入れることができました。
トニックというと一般的に知られているのは三つ杢にモヘアをまぜた革新的な技術とか完成した時にジン・トニックで祝杯をあげたのが名前の由来とかですが、いったいどんな生地でどんな着心地なのかはほとんど情報がなく、ベールに包まれているからこそあこがれや知りたいという欲求が募るものです。実際に生地を見ると複数の糸が撚り合わせてあるので重い三つ杢でありながらかなり目が粗くかなり高い透視性があります。触ってみると強い張りをもちがさがさでありながらモヘアが入っている分だけてかてかと光りつるつると表面がすべり、まるで化繊のようで不思議な生地です。これが生まれた1957年頃は今の「化繊」という概念はなかったでしょうから、とても新鮮だったことでしょう。
完成したスーツに袖を通してみるととても通気性がよく外気温が22度くらいでは少し肌寒さを感じたほどでした。硬くて少し厚い生地ですがこの夏いつまで快適に着ることができるか試してみたいです。「化繊のよう」と言った感触は特に違和感なく身体になじみました。モヘアのほどよい光沢が無味乾燥になりかねないグレイの無地に品のある陰影をつけぴんと張りきった身頃は威儀を正してくれるようで好感がもてます。オリジナル・トニック復刻版の時代に対する位置付けはもはや一部の好事家のためだけにあり、イタリア製の軽くてしなやかなドレープ感のある生地を経験した人には見向きもされないかもしれません。しかし糸をことさら撚って型崩れせず見栄えをよくするのも、モヘアの反発力によってしわが寄るのを防ぐのも着る本人よりあなたが会う相手や第三者に対する気遣いのためにあるとしたら。時代が求めるスーツ生地は着る人の着心地が中心になっていますが、見る人会う人をまず尊重するのがスーツの目的だという観点をふと思い出させてくれるトニックのような生地は普遍的価値があると思います。
仕立て初心者にはいろいろな生地で経験を積んでここにたどり着くことで得られる喜びを知ってもらいたいです。
![お仕立て紹介・コメント_b0081010_1343346.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201205/07/10/b0081010_1343346.jpg)
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お楽しみ、ご愛用頂けますと何よりです。Aさまいつもありがとう御座います。
HP:www.bisyuya.com|TEL:0823-21-2671|Mail:bishuuya@poplar.ocn.ne.jp|尾洲屋羅紗店
先日納品させて頂いたスーツのコメントを頂き、また良ければこのブログにもどうぞとおっしゃって頂いたのででそのままを以下に載せさせて頂きました。オーダー経験豊富なAさまならではの感想が楽しく綴られています。
お仕立頂いたのは仏Dormeuil社のTonikシリーズ。Tonikはスーツの歴史にその名を刻む名作生地です。3PLY(3本の糸を撚った)の糸が織り成すTonikはシャリ感が強く、その強度と共にモヘア糸(アンゴラ山羊)による天然の光沢感、張りが特徴の服地です。古き良き服地の復刻版としてこの春入荷した服地でしたが手に取る人によっては懐かしくもあり、私を含め当時を知らない世代の人にとっては新鮮であり斬新な印象すら受けます、そういった意味でも当店において今も昔も変わらず人気の服地Tonikであります。
↓↓↓以下、お客様からのコメント&フォト
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ドーメルの生地トニックは時代に合わせ改良版が出ていますが、「オリジナル1957」を冠した復刻版も限定発売していたのでした。これはオリジナルにきわめて近い製法と素材、混合比でつくられているということで、当時のものはもはやどこかの売れ残りでしか手に入らないこともありトニックにあこがれる服好きにはたまらない朗報でした。
こちらでは3着分入荷し、もちろん常連優遇という特典もなく熾烈な争奪戦の末、なんとか1着分を手に入れることができました。
トニックというと一般的に知られているのは三つ杢にモヘアをまぜた革新的な技術とか完成した時にジン・トニックで祝杯をあげたのが名前の由来とかですが、いったいどんな生地でどんな着心地なのかはほとんど情報がなく、ベールに包まれているからこそあこがれや知りたいという欲求が募るものです。実際に生地を見ると複数の糸が撚り合わせてあるので重い三つ杢でありながらかなり目が粗くかなり高い透視性があります。触ってみると強い張りをもちがさがさでありながらモヘアが入っている分だけてかてかと光りつるつると表面がすべり、まるで化繊のようで不思議な生地です。これが生まれた1957年頃は今の「化繊」という概念はなかったでしょうから、とても新鮮だったことでしょう。
完成したスーツに袖を通してみるととても通気性がよく外気温が22度くらいでは少し肌寒さを感じたほどでした。硬くて少し厚い生地ですがこの夏いつまで快適に着ることができるか試してみたいです。「化繊のよう」と言った感触は特に違和感なく身体になじみました。モヘアのほどよい光沢が無味乾燥になりかねないグレイの無地に品のある陰影をつけぴんと張りきった身頃は威儀を正してくれるようで好感がもてます。オリジナル・トニック復刻版の時代に対する位置付けはもはや一部の好事家のためだけにあり、イタリア製の軽くてしなやかなドレープ感のある生地を経験した人には見向きもされないかもしれません。しかし糸をことさら撚って型崩れせず見栄えをよくするのも、モヘアの反発力によってしわが寄るのを防ぐのも着る本人よりあなたが会う相手や第三者に対する気遣いのためにあるとしたら。時代が求めるスーツ生地は着る人の着心地が中心になっていますが、見る人会う人をまず尊重するのがスーツの目的だという観点をふと思い出させてくれるトニックのような生地は普遍的価値があると思います。
仕立て初心者にはいろいろな生地で経験を積んでここにたどり着くことで得られる喜びを知ってもらいたいです。
![お仕立て紹介・コメント_b0081010_1343346.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201205/07/10/b0081010_1343346.jpg)
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お楽しみ、ご愛用頂けますと何よりです。Aさまいつもありがとう御座います。
HP:www.bisyuya.com|TEL:0823-21-2671|Mail:bishuuya@poplar.ocn.ne.jp|尾洲屋羅紗店
by bisyuya
| 2012-05-07 09:04
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